• 介護業務の裏で発生する無駄な仕事をとことん改善するための実践を発信しています

こんにちは。介護士のyooshです。

 

【「利用者さん第一」は利用者さんのためにならない】

「利用者さんのために」という呪縛

「利用者さん」のために「職員」がいる。

「利用者さん」のために「職員」は仕事をする。

この考え方はまあ一般的かなと思います。

「利用者さん」がいるから「職員」は仕事があって、給料をもらって、生活することができるのは確かです。

 

けど、この考え方は

「利用者さんのためなら、あれもできるよね。これもできるよね。じゃ、やりましょう」

的な考えに至ることがあります。

 

で、「利用者さんのため」という大義名分のもと、職員は過度(過度っていうのも人それぞれ違いますが)にタスクを背負わされます。

夜勤明けでも仕事が終わらず、何時間も残業して書類作成をしている職員。

(朝9:30に終わってるはずが、「もう夕方の5:00でっせ」的なこともあります)

プライベートな時間を使って「ボランティアに行け」と命令される職員。

(僕の友達が行ったましたね。強制ボランティアに、、、)

 

「利用者さんのためになることなら何でもやります!」

という気持ちに満ちあふれている職員ならいいんです。

もしくは、そういう状態にある職員ならいいんです。

何も問題ないし、むしろ利用者さんのためにタスクを与えられることに喜びを感じると思います。

 

ていうか、そういう職員に満ちあふれている職場であることが、本当は理想的なんだと思います。

 

けど、現実的にはタスクで疲弊してしまう職員が大勢いるわけです。

疲弊した職員のネガティブな感情の矛先は、利用者さんに向かう可能性がめちゃくちゃ高いです。

あらゆる虐待とか、非人道的な行動が起こる可能性も高くなります。

 

「利用者さんのために」という考え方は全く間違っていません。

けど、それを達成するための方法を間違えると、全く逆の結果を生み出すことがあるということです。

職員の「やる気」に過度の期待は危険

「利用者さんのためにー!」と上司は言うけれど、実際「やる気」のある人ってそんなにいないと思うんです。

 

僕が「やる気がある人」と呼ぶのは

  1. 利用者さんのために、何をすべきかを自身で考え
  2. 提案し
  3. 反対する人がいたら
  4. 反対意見も受け入れ
  5. その上で新たな提案をし
  6. 実行する
  7. あれ?違うな?と思ったことを再検討する
  8. 改めて実行する
  9. 1~8を繰り返す

人のことを指します。

「やる気のある人達」はこのサイクルの中で、「利用者さんのためになる何か具体的なこと」を結果として生み出していくと思います。

 

で、このサイクルを繰り返している職員が100%であれば、理想=現実でしょう。

けど「そうではないよなー」というのが、僕の意見です。

 

ガチガチのビジネスマンみたいな、「結果にコミットします!」的な人は少ないと思います。

決していないわけではないです。けど、少ないと思います。

仕事に対して「結果にコミットします」系の人が「特にコミットしません」系の人よりも良いと言っているわけでもありません。

 

「ちょっと時間の空いた元主婦の方」なんかも結構いらっしゃるわけです。

元主婦とガチガチのビジネスマン的な人では、仕事に対する価値観はずいぶん違うと思います。

良いとか、悪いとかいう問題ではありません。

ただ価値観が違うというだけです。

 

なので、そんなに「利用者さんのためにー!利用者さんのためにー!」と声高に言われても、そこまで身を粉にして働くという価値観を持ち合わせていない人も多いわけです。

で、その価値観の違いによって、異常に働きにくくなり辞めていくわけです。

で、また人手不足になります。

 

「どういった価値観を持った人間が組織を構成しているのか」を加味せず、非現実な理想を求めることで、組織自体がぐらつきます。

とても危険だと思います。

 

人手不足になった現場に残った職員は、さらにキツくなります。

同量のタスクを、さらに少人数で実施する必要があるからです。

そして、自身の中で限界を迎えた職員がまた辞めます。

そして、さらに深刻な人手不足になります。

職員の働きやすさが先

じゃ、どうするか?

 

「利用者さんよりも、職員を優先すること」

だと思います。

もちろん最大の目的は

「利用者さんの幸福の最大化」です。

 

けど、最大の目標を現実にするために「まず職員を優先する」という方法を取る必要があると思います。

 

職員を大事にすると

  1. 職員は気持ちよく働ける
  2. ストレスが減る
  3. 利用者さんに対して、ポジティブに接することができる
  4. 利用者さんが「快」を感じられる

理想としては、こんなサイクルができます。

 

じゃあ、具体的にはどうするのか?

  • 丁寧に教える
  • いつでも質問ができるようにする
  • ミスを咎めるのではなく、ミスが起きないように「仕組み」で解決する
  • 時間を守る
  • 適材適所
  • 短所に執着しない
  • 長所をのばす

ですかね。

 

これらの項目がおざなりにされた結果、これまで職員が辞めていきました。

あくまで僕が行ったインタビューの結果ですので、狭い範囲での検証になりますが、、、

 

もちろん、人によって辞めていく理由は違うと思います。

バリバリのビジネスマンなんかだと「その仕事から得られるものがなくなった」とか「もっと高い給料を得る」とか「新しいスキルを身に着けて市場価値を上げる」とか、そういった理由で退職することも多いでしょう。

けど「介護施設で働く人(のおそらく多数)が持っている価値観を活かそうと思うと、上記の項目を大切にする必要がありそうだ」と思います。

 

自分の働く施設で、介護業界で働く人がどんな価値観をもっているのか?

その価値観を生かして、職員を現場でポジティブに機能させるにはどうすればよいか?

そういった視点で考えて、具体的な施策に落としていかなければ、土台から崩れ落ちると思います。

 

「利用者さんは大事。けど、現実問題として優先するのは職員」だと思います。

でないと、利用者さんの幸福度は上がりにくいと思います。


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